2023年3月1日 / 最終更新日時 : 2023年2月27日 user 主宰近詠 主宰近詠(令和5年3月号) 雪 降 れ り 中坪 達哉 ぞんぞんと身にも力や雪降れり凍雲や遠き記憶の道探す顔見世のまねき見上ぐるのみなれど煤掃や夏には蛇ののぼりし門 ニューイヤードナウの青に染まりたし KNBラジオ「朝の十七音」スタジオに声をとと […]
2023年2月1日 / 最終更新日時 : 2023年1月30日 user 主宰近詠 主宰近詠(令和5年2月号) 小 夜 時 雨 中坪 達哉 柿を干す高層ビルのまた増えて一枚の皮の鉄壁熟柿かなこそばゆき雨音を待つ小夜時雨踏む音も落葉明かりの庭巡る日の匂ふ落葉や栗鼠も喰ひさうな 鳥も人を見に日の差して窓辺に今日は尉鶲笑むことも一善 […]
2023年1月1日 / 最終更新日時 : 2022年12月28日 user 主宰近詠 主宰近詠(令和5年1月号) 鰤 起 し 中坪 達哉 座す膝に日差しあつめて秋の昼柿食ふや渋み幾らかうべなひて酔芙蓉の酔ひ遅き日の無聊かな歩かねば野も余所余所し雁渡し野に入ればやがて花野となりにけり 氷見の家 三句ストーブを出すや父母在るごとく […]
2022年12月1日 / 最終更新日時 : 2022年11月29日 user 主宰近詠 主宰近詠(令和4年12月号) い て ふ ち る 中坪 達哉 聞きたきは稲を刈り行く鎌の音昼どきを鳶の笛かな運動会 百千度くりかへしても読毎にこと新なり古之典 山田孝雄棗の実くぐり孝雄の歌碑までと切抜きの鋏の音もさはやかに 『前田普羅 季語別句 […]
2022年11月1日 / 最終更新日時 : 2022年10月29日 user 主宰近詠 主宰近詠(令和4年11月号) 大 気 の 音 中坪 達哉 待宵を駅頭の灯は逆立ちて戻る距離思ひて歩む今日の月十六夜を灯さぬ窓は月見るか別れ来て立待月を車窓より居待月天心に読み耽りゐて開け放つ風に目覚めて寝待月流れ行く大気の音か二十日月 氷見の家尻 […]
2022年10月1日 / 最終更新日時 : 2022年9月30日 user 主宰近詠 主宰近詠(令和4年10月号) 青 嶺 中坪 達哉 胸中に先づ涼しさといふものを滝音に高巻きの背の見え隠れ文机に加勢や夜々の蝉時雨悔い多きこの頃なれど月涼し 普羅忌 二句大空に目で書く一句立秋忌木斛の花後の木蔭を頼みけりどの葉へと移さん手に乗るかまき […]
2022年9月1日 / 最終更新日時 : 2022年8月28日 user 主宰近詠 主宰近詠(令和4年9月号) 定 家 葛 中坪 達哉 一語待つ定家葛の花仰ぎ蛇けふも頭隠して径ふさぐ十薬を根こそぎといふ屈みやう大声が風に乗り来る熱帯夜いにしへの風は如何にと古扇 車庫を燕に明け渡す自転車の乗り降り燕の子が匂ふ冷房やマイクロフォンの […]
2022年8月1日 / 最終更新日時 : 2022年7月29日 user 主宰近詠 主宰近詠(令和4年8月号) 浦 島 草 中坪 達哉 妻の背の早も遠きや蕨狩立山の見えぬ日残る鴨探す残る鴨見当たらず水余所余所し筍を掘るや谷より風強し筍を掘る一撃の谺かな 山中に時折この辺り隠し田跡か浦島草屈み居れば太き蚯蚓が集まり来青嵐打ち合ふ […]
2022年7月1日 / 最終更新日時 : 2022年6月29日 user 主宰近詠 主宰近詠(令和4年7月号) 春 の 雨 中坪 達哉 頭上へと来るまで燕眺めをり歩めとぞ肩先掠めゆく燕乗り降りの雨に濡るるも四月かなペダル漕ぐ合羽を滑る春の雨 定家自筆漢文体春時雨漢字犇犇明月記 佐竹本三十六歌仙 源重之麗かや金泥も緑青も失せ音も […]
2022年6月1日 / 最終更新日時 : 2022年5月30日 user 主宰近詠 主宰近詠(令和4年6月号) 春 の 土 手 中坪 達哉 投函へ渡る大路も春めきぬ時計無き柱となりて冴返る古傘に音も弾みて木の芽雨剪定のどれも錆びたる道具かなおのづから上り下りして春の土手 富山県中央植物園 二句人なくば駆けたきものを花の道めま […]