<草紙9>吟行に出かけたい         

 仲間と吟行に出かけることがずっとできていない。コロナ禍の収束はいつになるのだろう。会員の宏さんが「ホームページ作りの参考に」と送ってくださった写真を見ていると、しみじみと吟行に行きたくなる。ホームページ「辛夷の歩み」で紹介されている棟方志功が疎開していた福光町の福光駅(JR城端線)の写真だ。棟方が揮毫した「無事」という文字が掲げられている。駅を行く人達の平穏無事、駅で働く人達の無事、無事故などを祈る心のこもった文字である。駅前にある棟方の記念碑の写真もある。棟方が描いたような列車で、棟方も、彼の椅子の梱包材として奇跡的に残ったという「釈迦十大弟子」もやってきたのだと思うと感慨深い。雪が解けてタンポポが咲き出したら、宏さんの案内で、この福光駅やだまし川周辺への吟行を企画するのも良いかと思う。もちろん河童伝説にふさわしい蛍の季節にも。その時は「みんなと」と願うばかりである。

                                                                                      康裕

棟方志功の記念碑より

                          


<草紙8>嬉しき「読者のたより」           

 立春を過ぎると寒さは厳しいものの、心のスイッチは春に切り替わっている。「地霧(じぎり)」と言うらしいが、太陽の日差しを受けて畑から湯気が立っている。これを見ると畑仕事の準備をと思う。ところが、明日(2月17日)は今年3度目の大雪予報。春が足踏みしている。

 このような日に会員の宏さんから、ホームページ辛夷草紙の<草紙6>(すてきな富山弁「空に乗る」)を懐かしく読みましたとの便りをいただいた。ホームページ担当者として読者の声を届けていただけるのは何よりも嬉しく、励みになる。

 住まいの高岡市三日市方面では、「空に乗る」を「シミアイリキ(凍み合力)」と呼ぶとのこと。手紙には「今日は『シミアイリキ』になりましたから、10時過ぎまで野外授業をします。スキーでも、ソリでも、茣蓙(ござ)すべりでも自由に遊んで良しと先生から話があり、子供達は大喜びした」と綴られている。

 宏さんは、このようなしだいに消えてゆく話を「民俗と方言」として書き残すべく纏(まと)めているとのこと。宏さんは以前、俳誌辛夷に「棚田歳時記」として俳句を交えて農作業の今昔を連載された。それらの俳句は正に地貌を詠まれたものだった。今度は「民俗と方言」を拝読できる日を楽しみにしていよう。

                 康裕


<草紙7>またも大雪予報(富南辛夷句会便り)            

 今年2度目の大雪予報のため、句会(2021.1.29)を急遽中止した。結果としては、雪は30センチほど降ったものの暴風はなく開催できたように思う。が、これもやむを得ない。先の大雪後の句会なので、投句は殆どが除雪、排雪の句だっただろうと思う。私の投句予定の句がそうだったが、欠席投句の方も同じで「凍てを割る」句もあった。私の用意していた句を紹介すると

    二階より深雪の庭を俯瞰せり 

 この時期は朝一番に2階の書斎から庭の積雪を見て雪対策を考える。その日は大松が重そうに雪に耐え、雪吊は縄を張り切り、雪見灯籠は烏帽子のごとく山高な雪帽子を被り、庭は腰ほどの雪だった。屋根も腰ほどの雪。

    雪下ろし木の間飛ぶ鳥下に見て

 10年ぶりかもしれない。襖の開け閉てが渋くなり屋根に上った。鳥達は木の間を飛んでいる。空腹なのだろう。その日は電車の音もなく、車は轍を拾いながらの運転で静かな日だった。

                          康裕