埋  火

中坪 達哉

その奥に祖(おや)たちの声萱を刈る
枝打やすなはち剱岳を打つ
立山機嫌打ちたる枝を括りけり
紅葉散る自転車籠に古鞄
今日あたり笹鳴あらむ木々匂ふ
笹鳴をくぐりゆくとき息止めて
  回 想
埋火を掘り当ててより語り出す
おのが影失せて動かず冬の蠅
初雪に南天の縄黄金色
聖樹見に来たる街にはあらねども