新 茶 汲 む

中坪 達哉

ひよろひよろのいつもの蜂か物干場
田起しの土乾きゆく匂ひかな
春惜しみその辺りまで歩きけり
春風を阻む空気も古本屋
花は葉に登りに選ぶ男坂
  ピンク色はイモカタバミ
かたばみの鉢物にまで咲くことよ
亡き父の薬用の碗新茶汲む
村ひとつ沈みて代田ふくらみぬ
けふよりは花なき牡丹葉の照りて
サボテンの花寝る前にもう数ページ