主宰近詠(令和8年3月号)

雪中の水色

中坪 達哉

待ち合はす聖樹の裏の五メートル
蹴り込んで欅落葉の山揺らす
面壁の心に歩く枯野かな
廃村と言ふにあらねど虎落笛
年輪の冬日に消えて何の樹ぞ
 武者めく可笑しさ 
突風や弓手に鞄馬手冬帽
ラジオ体操白息を振りかぶり
枝打の鋸引く粉の黄金色
寝ねもせでジャズなど聞いて年詰まる
雪中の水色見んと雪を掻く