2024年9月1日 / 最終更新日時 : 2024年8月30日 user 主宰近詠 主宰近詠(令和6年9月号) 雲 の 峰 中坪 達哉 夕虹の色を燕と数へけり山抜けし三光鳥を聞かずして乾きたる軍手土色閑古鳥夏帽子似合ひて元気出たらしく球場とする白線を雲の峰 氷見市 朝日山下闇を閻魔堂へと下りにけり父ははの戒名唱へ風涼し気付くと […]
2024年8月1日 / 最終更新日時 : 2024年7月29日 user 主宰近詠 主宰近詠(令和6年8月号) 五 月 闇 中坪 達哉 駅ピアノ誰か鳴らせよ春惜しむ父母亡くて蛙の声に寝落ちけり雨脚の白きをはじき夏つばめわれと知り口をへの字につばめの子真直なる雨脚涼し天守閣 雨に打たるるもよし五月雨の匂へる合羽吊りにけり玉葱の皮剝 […]
2024年7月1日 / 最終更新日時 : 2024年6月28日 user 主宰近詠 主宰近詠(令和6年7月号) 夏 つ ば め 中坪 達哉 くれなゐのドリップコーヒーさへづれり籠りをり惜しみなく鳴くうぐひすとふるさとの田畑匂へり春の闇膝に舞ふ蝶に付き行くほかはなく 二年ぶりに車庫に燕の巣力なき肩を掠めて夏つばめ投函に付いて来るとも […]
2024年6月1日 / 最終更新日時 : 2024年5月31日 user 主宰近詠 主宰近詠(令和6年6月号) 春 北 斗 中坪 達哉 菜の花の見えて匂へるところまでぎふてふのよぎりてよりの脚かろし今日つばめ見て居らざれば表へとぎうぎうと田起しの泥朝日吸ふ近道をして来し肩に桜蕊公園の芽柳に触れ折り返す終バスを降り春星のただ中へ靴音 […]
2024年5月1日 / 最終更新日時 : 2024年4月30日 user 主宰近詠 主宰近詠(令和6年5月号) 姫 こ ぶ し 中坪 達哉 水にての髭剃りも慣れ春浅し春の雪舞ふも一興ペダル踏むペダル踏む春一番を疑はずたれかれによく会ふ日なり街うらら刈り込みて広がる庭を地虫出づ 前庭の姫こぶし今年も姫こぶし食はるるためにまたひらく […]
2024年4月5日 / 最終更新日時 : 2024年4月5日 user 主宰近詠 主宰近詠(令和6年4月号) 春 の 月 中坪 達哉 おもむろに抱く裸木の幹周り一つ見え数多見え来る冬木の芽雨音のゆるやかに冬あたたかや山茶花の散り敷くばかり散るを見ず山茶花を揺らすいつもの目白かな家見えて大股となる枯木星春の月空堀の底物置かず春愁を […]
2024年3月1日 / 最終更新日時 : 2024年3月1日 user 主宰近詠 主宰近詠(令和6年3月号) 能登半島嘆きの長さ 中坪 達哉 能登半島嘆きの長さ冬銀河笹鳴に地震の一夜は明けにけりオリオンを肩に余震も遠のくか 氷見の実家倒れたる灯籠隠す雪解けてこれ以上鳴らぬ熊鈴山家へと長風呂に枝打ちしたる指鳴らす剱岳そびらに啓翁 […]
2024年2月1日 / 最終更新日時 : 2024年1月29日 user 主宰近詠 主宰近詠(令和6年2月号) 雪 の 浅 間 中坪 達哉 茶室へと紅葉に濡れし身を入るる秋草の匂ふ自転車起しけり綿虫を煽りて先を急ぎけり故郷の新道に迷ふ片時雨水鳥のかたまるほどの数もなく 逞しきにょしょう振り返る雪の浅間に背を押されたどり着き歯茎に […]
2024年1月1日 / 最終更新日時 : 2023年12月26日 user 主宰近詠 主宰近詠(令和6年1月号) 瞿(く)麦(ばく)忌 中坪 達哉 山霧に流されまじく岩を抱く策も無く有明月の白さかなその中の白押し通す酔芙蓉夕空にとをほど柿をつるしけり 大伴家持の忌日 撫子忌・瞿麦(くばく)忌おとがひを剃りゆく音やなでしこ忌瞿麦忌の丘 […]
2023年12月1日 / 最終更新日時 : 2023年11月30日 user 主宰近詠 主宰近詠(令和5年12月号) 小 望 月 中坪 達哉 校舎なき一本道や秋ざくら掛稲の香りといふを存分に端座して添水の音も和らぎぬ土に座す臀も痩せたり運動会 風は嵩にかかって秋爽の風押し寄する天守かな明日の晴すでに始まり小望月高々と網張る蜘蛛や今日 […]