2025年9月1日 / 最終更新日時 : 2025年8月29日 user 主宰近詠 主宰近詠(令和7年9月号) 朴 ひ ら く 中坪 達哉 湯上りのコーヒー牛乳遠蛙急登とまでは行かねど朴ひらく涼しさや庭より闇の押し寄せて風鈴の夜風に一句吊しけり昼からは軒より高く揚羽蝶 有峰 三句涼しさや水目の枝を胸に挿し歩を緩め春蝉の声変はりけ […]
2025年8月1日 / 最終更新日時 : 2025年7月29日 user 主宰近詠 主宰近詠(令和7年8月号) サ ボ テ ン の 花 中坪 達哉 かろき分かずを増やしてこばんさう草笛の高音出すとき目をつむり玉葱の皮剥く朝日燦燦と積み替へて一書出て来ず走り梅雨郭公の谺を浴びて巨人めく納豆の糸じふぶんに空梅雨か舟虫を散らしては思ひ出 […]
2025年7月1日 / 最終更新日時 : 2025年6月27日 user 主宰近詠 主宰近詠(令和7年7月号) 新 茶 汲 む 中坪 達哉 ひよろひよろのいつもの蜂か物干場田起しの土乾きゆく匂ひかな春惜しみその辺りまで歩きけり春風を阻む空気も古本屋花は葉に登りに選ぶ男坂 ピンク色はイモカタバミかたばみの鉢物にまで咲くことよ亡き父 […]
2025年6月1日 / 最終更新日時 : 2025年5月30日 user 主宰近詠 主宰近詠(令和7年6月号) 花 見 舟 中坪 達哉 鳥雲に大学ノート買ひに出て背に腹に光を溜めて春の雁地植ゑには咲き終へてより鉢貝母早々と来て芽柳の枝揺らす 富山駅北イベント多し風光る先づは落してジャグリングパレードに付いて行きたき子猫かな雨の日 […]
2025年5月1日 / 最終更新日時 : 2025年5月1日 user 主宰近詠 主宰近詠(令和7年5月号) 木 の 根 明 く 中坪 達哉 鮟鱇の吊られて映す街明かり雪の夜の庭に何かがゐるやうな旧正の蔵の戸かくも重たきか 今年はまだ居て尉鶲昼からも来て木の根明く街騒も春めくものとなりにけり残雪の剱岳は消えず雨の中道らしきもの […]
2025年4月3日 / 最終更新日時 : 2025年4月3日 user 主宰近詠 主宰近詠(令和7年4月号) 山 茶 花 中坪 達哉 外に出でて白息のほど確かめんラジオ体操花びら散らす山茶花と起き上がる気配冬菊のざつと百村といふほどの家なく冬田道この頃は椅子に腰掛け冬座敷 冬の庭もまた佳し蝉氷解けねば枝折戸に触れずバスを待つ除 […]
2025年3月1日 / 最終更新日時 : 2025年3月1日 user 主宰近詠 主宰近詠(令和7年3月号) 枝 打 中坪 達哉 枝打の響きを熊も聞きをらむ裏山の土の匂へる隙間風一輪挿し冬菊白く二十四時 立春までは暖冬つづく降る雪の積るやいなや蹴散らしぬ街眼下クリスマスソング何曲も破裂していよいよ餅の白さかな翁像虚子普羅小照清 […]
2025年2月1日 / 最終更新日時 : 2025年1月30日 user 主宰近詠 主宰近詠(令和7年2月号) 奥 の 間 の 寒 気 中坪 達哉 秋渇き町を歩けば空き地増えこの道の落葉を踏みて半世紀紅葉山追ひ抜かれては登り行く低山と云へど瘦せ尾根雁渡る KNB「朝の十七音」二十八年目朝しぐれ放送局へひと歩き庭にあと一つ欲しきは […]
2025年1月1日 / 最終更新日時 : 2024年12月25日 user 主宰近詠 主宰近詠(令和7年1月号) 深 呼 吸 中坪 達哉 ラジオ体操抜きの出発野紺菊歩み出す土やはらかや秋晴れて鳴き声が頭上に雁の腹白し爽やかに歩めば街も煌めいて十月や大気甘きと深呼吸居間にても庭巡りても秋澄めり 柿が柿を食うか止まらざる水島柿を食べ出 […]
2024年12月5日 / 最終更新日時 : 2024年12月5日 user 主宰近詠 主宰近詠(令和6年12月号) 瞿麦(くばく)忌 (「なでしこ忌」とも 大伴家持忌日) 中坪 達哉 筆を擱き文字を眺むるなでしこ忌瞿麦忌の海に臨むや馬上より 近所の森なす館解体の地響き届く唐辛子冬瓜汁けふ幾たりと語るらむ畑とも庭ともつかずオクラ生る一 […]