2025年3月1日 / 最終更新日時 : 2025年3月1日 user 主宰近詠 主宰近詠(令和7年3月号) 枝 打 中坪 達哉 枝打の響きを熊も聞きをらむ裏山の土の匂へる隙間風一輪挿し冬菊白く二十四時 立春までは暖冬つづく降る雪の積るやいなや蹴散らしぬ街眼下クリスマスソング何曲も破裂していよいよ餅の白さかな翁像虚子普羅小照清 […]
2025年2月1日 / 最終更新日時 : 2025年1月30日 user 主宰近詠 主宰近詠(令和7年2月号) 奥 の 間 の 寒 気 中坪 達哉 秋渇き町を歩けば空き地増えこの道の落葉を踏みて半世紀紅葉山追ひ抜かれては登り行く低山と云へど瘦せ尾根雁渡る KNB「朝の十七音」二十八年目朝しぐれ放送局へひと歩き庭にあと一つ欲しきは […]
2025年1月1日 / 最終更新日時 : 2024年12月25日 user 主宰近詠 主宰近詠(令和7年1月号) 深 呼 吸 中坪 達哉 ラジオ体操抜きの出発野紺菊歩み出す土やはらかや秋晴れて鳴き声が頭上に雁の腹白し爽やかに歩めば街も煌めいて十月や大気甘きと深呼吸居間にても庭巡りても秋澄めり 柿が柿を食うか止まらざる水島柿を食べ出 […]
2024年12月5日 / 最終更新日時 : 2024年12月5日 user 主宰近詠 主宰近詠(令和6年12月号) 瞿麦(くばく)忌 (「なでしこ忌」とも 大伴家持忌日) 中坪 達哉 筆を擱き文字を眺むるなでしこ忌瞿麦忌の海に臨むや馬上より 近所の森なす館解体の地響き届く唐辛子冬瓜汁けふ幾たりと語るらむ畑とも庭ともつかずオクラ生る一 […]
2024年11月1日 / 最終更新日時 : 2024年10月26日 user 主宰近詠 主宰近詠(令和6年11月号) 狭 庭 の 月 中坪 達哉 ペーパーナイフ切り裂く音も夜の秋わが机辺けふも遅参の鉦叩虫時雨けふは早めの仕舞風呂 氷見の実家灯らざる庇より降る虫のこゑ待宵の木々それぞれに匂ひ立つたたずめる我が影正す良夜かな 高志の国 […]
2024年10月1日 / 最終更新日時 : 2024年9月29日 user 主宰近詠 主宰近詠(令和6年10月号) 蛇 の 衣 中坪 達哉 何かある今宵は火取虫の来ず真夜中の匂ひとなりぬ夏木立にはたづみ今こそ泳げ蝸牛覗かねばならぬ太さや蛇の衣帰りには長くなりをり蛇の衣蛇を見ぬうちに荒れ庭突つ切つて虫干の衣裳巡れば迷路めく十ほどの日傘 […]
2024年9月1日 / 最終更新日時 : 2024年8月30日 user 主宰近詠 主宰近詠(令和6年9月号) 雲 の 峰 中坪 達哉 夕虹の色を燕と数へけり山抜けし三光鳥を聞かずして乾きたる軍手土色閑古鳥夏帽子似合ひて元気出たらしく球場とする白線を雲の峰 氷見市 朝日山下闇を閻魔堂へと下りにけり父ははの戒名唱へ風涼し気付くと […]
2024年8月1日 / 最終更新日時 : 2024年7月29日 user 主宰近詠 主宰近詠(令和6年8月号) 五 月 闇 中坪 達哉 駅ピアノ誰か鳴らせよ春惜しむ父母亡くて蛙の声に寝落ちけり雨脚の白きをはじき夏つばめわれと知り口をへの字につばめの子真直なる雨脚涼し天守閣 雨に打たるるもよし五月雨の匂へる合羽吊りにけり玉葱の皮剝 […]
2024年7月1日 / 最終更新日時 : 2024年6月28日 user 主宰近詠 主宰近詠(令和6年7月号) 夏 つ ば め 中坪 達哉 くれなゐのドリップコーヒーさへづれり籠りをり惜しみなく鳴くうぐひすとふるさとの田畑匂へり春の闇膝に舞ふ蝶に付き行くほかはなく 二年ぶりに車庫に燕の巣力なき肩を掠めて夏つばめ投函に付いて来るとも […]
2024年6月1日 / 最終更新日時 : 2024年5月31日 user 主宰近詠 主宰近詠(令和6年6月号) 春 北 斗 中坪 達哉 菜の花の見えて匂へるところまでぎふてふのよぎりてよりの脚かろし今日つばめ見て居らざれば表へとぎうぎうと田起しの泥朝日吸ふ近道をして来し肩に桜蕊公園の芽柳に触れ折り返す終バスを降り春星のただ中へ靴音 […]