主宰近詠(令和7年3月号)

枝 打

中坪 達哉

枝打の響きを熊も聞きをらむ
裏山の土の匂へる隙間風
一輪挿し冬菊白く二十四時
  立春までは暖冬つづく
降る雪の積るやいなや蹴散らしぬ
街眼下クリスマスソング何曲も
破裂していよいよ餅の白さかな
翁像虚子普羅小照清め小晦日
眠るまじ乳白色の除夜の湯に
ちちははの戒名となへ初山河
  青木久仁女さんへ
けふも仰ぐ冬の星々かがやけば