辛夷草紙<67>(令和7年1月)

<草紙67>「 寒鰤 」(富南辛夷句会便り)

 富山県氷見漁港では、令和6年11月20日に「ひみ寒ぶり」宣言が出され、年明けの1月20日にシーズン終了となった。富山湾で水揚げされ氷見漁港で競られた7キロ以上の鰤を「ひみ寒ぶり」というが、今シーズンは69,351本に達し、過去2番目の記録になったという。昨年1月の能登半島地震の影響で、紅ズワイガニ、白エビなどの不漁が起き、漁業者の不安を大きくしていただけに朗報だ。

 我が家の正月は、お節に加えて、寒鰤の刺身、照り焼きなどが定番だが、今年は、県外に住む釣り好きの孫の提案で、鰤しゃぶを囲むことになった。大物は捌けないので、魚屋で5キロ程度の半身を大きく捌いてもらい、夕刻には孫の包丁さばきによる鰤の薄切りが大皿に並んだ。子供とは思えぬ出来あがりに驚いた。帰省のたびに見せてくれる頼もしい姿はとても眩しく、嬉しい限りである。

 さて、初句会の季語だが、冬の星、冬の月、冬の虹、雪、寒鰤に始まり、正月ならではの初詣、箸紙、三日、正月、初旅、読初、弓始、双六、七種、女正月などに続いて、寒の内、寒晴などを詠んだ句が出され、華やいだ句会となった。

 投句のあった季語に合わせて『前田普羅 季語別句集』より3句。

  オリオンの下の過失はあまりに小

  農具市深雪を踏みて固めけり

  七草や雀烏の枝うつり

                       康裕