主宰近詠(令和7年2月号)

奥 の 間 の 寒 気

中坪 達哉

秋渇き町を歩けば空き地増え
この道の落葉を踏みて半世紀
紅葉山追ひ抜かれては登り行く
低山と云へど瘦せ尾根雁渡る
  KNB「朝の十七音」二十八年目
朝しぐれ放送局へひと歩き
庭にあと一つ欲しきはななかまど
奥の間の寒気を暫し浴びに来て
  高岡市山町筋 三句
しぐるるや幾つも土蔵出入りして
厚物を戸口に並べ住み古りし
雨上がる町筋に待つ冬の虹