辛夷草紙<75>(令和7年8月)
<草紙75> 「朝の音」(富南辛夷句会便り)
朝の6時に寺の鐘が鳴ると山里が次第に目覚めていく。私は庭の草むしりを始める。静けさの中に、鉄路の音、通勤車の音などがだんだん増えてくる。7時には、村のチャイムで「浜辺の歌」の曲が流れる。私は心の中で歌詞を口遊む。今朝も「あした浜辺を さまよえば 昔のことぞ しのばるる 風の音よ~ 雲のさまよ~」と。「雲!」、思わず大日岳を見上げた。「秋の雲だ」。8月27日、昨日までの峰雲ではなかった。朝の草むしりも悪くない。
朝六つの鐘に始むる草むしり 康裕
さて、今もなお猛暑日が続く中の句会では、炎天、極暑などの季語が多く、暑さ疲れが見えたが、さすがに俳人の感性だ。法師蝉、新涼、葛の花、秋の蜂など、ほんの少しの秋への変化をとらえていた。
投句のあった季語に合わせて『前田普羅 季語別句集』より3句。
新涼や豆腐驚く唐辛子
葛の花龍女が渕に径古りぬ
かへり来て顔みな同じ秋の蜂
康裕