2021年7月1日 / 最終更新日時 : 2021年6月30日 user 主宰近詠 主宰近詠(令和3年7月号) 草 刈 る や 中坪 達哉 春眠といふこと知らず文机にはぐれたか窓辺離れぬ雀の子窓若葉鋏を二つ使ひ分け大いなる玉葱きざむ音なりしクリップも錆びたる書類夕薄暑 氷見の生家へ草刈るや錆びたる鎌を励まして種蒔を終へし右手の […]
2021年6月1日 / 最終更新日時 : 2021年5月27日 user 主宰近詠 主宰近詠(令和3年6月号) 鳶 の 下 中坪 達哉 早立ちにめくる新聞黄水仙廃村にあらず畑打つ鳶の下初ざくら頭上に鳶を近くして通ひ路をいそぐ撫で肩花ぐもり 素人の遊び剪定の伝ひ歩きや塀の上囀のその正体が塀に来て春うれひも篩にかけて払ひたし利休 […]
2021年5月1日 / 最終更新日時 : 2021年4月28日 user 主宰近詠 主宰近詠(令和3年5月号) 春 の 雁 中坪 達哉 雪折れの棒のごとくに立つものは裏山は夕べの匂ひ木の芽晴太く長く啓蟄待たぬ蚯蚓どち山茶花の紅映ろひて姫辛夷木の芽雨午後に食ひ込む用ひとつ 廃校となりしが 氷見学び舎へ一本道や山笑ふオールディーズ […]
2021年4月1日 / 最終更新日時 : 2021年3月24日 user 主宰近詠 主宰近詠(令和3年4月号) 遠 雪 崩 中坪 達哉 明日あたり折らねばならぬ氷柱かなページ繰る指にクリーム寒夜更く暖房の音もBGМとして臘梅や近所巡るも旅気分 小庵中庭大日岳を辷り来る日矢ものの芽に軒の雪叩き落せし雨水かな芹摘むや流れに指を […]
2021年3月1日 / 最終更新日時 : 2021年3月1日 user 主宰近詠 主宰近詠(令和3年3月号) 活 字 整 然 と 中坪 達哉 冬至湯を上がればぼんぼん時計鳴るこの冷気好もし雪の降る町を寒波来る夜更けや活字整然と餅を切る一直線の深さかな除夜の湯の音ほどは波立たぬなり元日も夕べや重き雪を搔く覚えなき筆跡無名年賀状小 […]
2021年2月1日 / 最終更新日時 : 2021年1月31日 user 主宰近詠 主宰近詠(令和3年2月号) 埋 火 中坪 達哉 その奥に祖(おや)たちの声萱を刈る枝打やすなはち剱岳を打つ立山機嫌打ちたる枝を括りけり紅葉散る自転車籠に古鞄今日あたり笹鳴あらむ木々匂ふ笹鳴をくぐりゆくとき息止めて 回 想埋火を掘り当ててより語 […]
2021年1月1日 / 最終更新日時 : 2021年1月1日 user 主宰近詠 主宰近詠(令和3年1月号) 時 雨 虹 中坪 達哉 嗅ぎ分けて金木犀と銀木犀銀杏を拾ふことなき歩みかな新道に迷ふふるさと柿日和さつまいも眺め飽かねどふかしけり卓上の柚子を一と嗅ぎ出掛けるか 時雨好もし再会に選ぶ言葉や時雨虹大仏の時雨明かりを行き帰 […]
2020年12月1日 / 最終更新日時 : 2020年12月19日 user 主宰近詠 主宰近詠(令和2年12月号) 玄 武 岩 中坪 達哉 一俵の重さの記憶今年米花野とは決まつて迷ひ込むところ朝顔の踏まれまいとて青を立て垂れ込める雨意の雲々穴まどひ 雑踏の音と匂ひ取り戻す旅の感覚秋時雨仲秋の竿に干されし旅鞄長き夜の文鎮として玄武岩 […]
2020年11月4日 / 最終更新日時 : 2020年11月11日 kobushi 主宰近詠 主宰近詠(令和2年11月号) 雨音に眠たし (有峰の森) 中坪達哉 西 谷 川 二句岩を打ちいよいよ秋の水となる名人の岩魚を返す水の音日暮までもう一歩き真弓の実折れ枝を踏み行く音も秋のもの マーキングした蝶を放つ指先に浅葱斑の色移る雨の中九 […]