主宰近詠(令和4年1月号)
庭 の 匂 ひ
中坪 達哉
熊よりも天狗出さうや鳥兜
ゐのししのぬた場や秋の日を溜めて
剃刀で払ふ秋の蚊日に紛れ
とんばうのけふも貼り付く窓辺かな
秋日傘とて渡されし女傘
幾度訪れても
二月堂裏へと至る爽やかに
厚物の二ひやく三びやく時とまる
山茶花の庭の匂ひを挿しにけり
寂しさを口には出さず夕時雨
夕時雨歩くやバスの一区間
中坪 達哉
熊よりも天狗出さうや鳥兜
ゐのししのぬた場や秋の日を溜めて
剃刀で払ふ秋の蚊日に紛れ
とんばうのけふも貼り付く窓辺かな
秋日傘とて渡されし女傘
幾度訪れても
二月堂裏へと至る爽やかに
厚物の二ひやく三びやく時とまる
山茶花の庭の匂ひを挿しにけり
寂しさを口には出さず夕時雨
夕時雨歩くやバスの一区間