辛夷草紙<26>(令和3年12月)

<草紙26> 「大山文化会館の取り壊し」(富南辛夷句会便り)

 「青春時代は夢なんて……」に始まる森田公一のピアノと歌が幕開けだった。大山文化会館での長女の成人式の景。この文化会館の取り壊しが始まった。設立以来、約40年間も大山町民の文化活動を支えてきた会館だ。町が富山市に合併後、身の丈にあった「コンパクトなまちづくり」の具体化として、修繕や維持費を考慮して2018年度末に閉館していた。この取り壊し跡地に、2023年の春、大山地域の公共施設を再編して多世代交流拠点となる新施設が誕生する。現在の大山行政サービスセンター、大山図書館、上滝公民館機能が入り、大山文化会館に替わる多目的ホールも整備されるとのこと。取り壊しの工事を目にして、寂しさと新しい施設で句会を行う楽しみが、相半ばしている。

 さて、12月の句会だが、句材は日向ぼこ、クリスマス、山眠る、雪の立山、マスク、雪用意、冬の虹、冬キャベツなど。コロナ禍の落ち着きもあり近距離の旅吟の句が数句みられた。今回は、『辛夷(令和2年7月号)』掲載の「投句事前チェックリスト」のコピーを配布し、注意点を意識しつつの推敲を行った。自分で気づくのはなかなか難しいようであったが、句会で皆と確かめ合うことができ、良い機会となった。

 投句のあった季語に合わせて前田普羅の句を一句。

大いなる足音きいて山眠る(前田普羅 飛騨紬所収)

康裕