辛夷草紙<9>(令和3年2月)

<草紙9>吟行に出かけたい         

 仲間と吟行に出かけることがずっとできていない。コロナ禍の収束はいつになるのだろう。会員の宏さんが「ホームページ作りの参考に」と送ってくださった写真を見ていると、しみじみと吟行に行きたくなる。ホームページ「辛夷の歩み」で紹介されている棟方志功が疎開していた福光町の福光駅(JR城端線)の写真だ。棟方が揮毫した「無事」という文字が掲げられている。駅を行く人達の平穏無事、駅で働く人達の無事、無事故などを祈る心のこもった文字である。駅前にある棟方の記念碑の写真もある。棟方が描いたような列車に乗って、棟方自身も、彼の椅子の梱包材として奇跡的に残ったという「釈迦十大弟子」もやってきたのだと思うと感慨深い。雪が解けてタンポポが咲き出したら、宏さんの案内で、この福光駅やだまし川周辺への吟行を企画するのも良いかと思う。もちろん河童伝説にふさわしい蛍の季節にも。その時は「みんなと」と願うばかりである。

                                                                                      康裕

棟方志功の記念碑より