辛夷草紙<8>(令和3年2月)

<草紙8>嬉しき「読者のたより」           

 立春を過ぎると寒さは厳しいものの、心のスイッチは春に切り替わっている。「地霧(じぎり)」と言うらしいが、太陽の日差しを受けて畑から湯気が立っている。これを見ると畑仕事の準備をと思う。ところが、明日(2月17日)は今年3度目の大雪予報。春が足踏みしている。

 このような日に会員の宏さんから、ホームページ辛夷草紙の<草紙6>(すてきな富山弁「空に乗る」)を懐かしく読みましたとの便りをいただいた。ホームページ担当者として読者の声を届けていただけるのは何よりも嬉しく、励みになる。

 住まいの高岡市三日市方面では、「空に乗る」を「シミアイリキ(凍み合力)」と呼ぶとのこと。手紙には「今日は『シミアイリキ』になりましたから、10時過ぎまで野外授業をします。スキーでも、ソリでも、茣蓙(ござ)すべりでも自由に遊んで良しと先生から話があり、子供達は大喜びした」と綴られている。

 宏さんは、このようなしだいに消えてゆく話を「民俗と方言」として書き残すべく纏(まと)めているとのこと。宏さんは以前、俳誌辛夷に「棚田歳時記」として俳句を交えて農作業の今昔を連載された。それらの俳句は正に地貌を詠まれたものだった。今度は「民俗と方言」を拝読できる日を楽しみにしていよう。

                 康裕