主宰近詠(令和7年11月号)

虫 高 音

中坪 達哉

月細く昼より強き草いきれ
夏負けてなど居られず仏説阿弥陀経
ラジオ体操鳴らせば枝に小鳥来て
切り抜きし記事に傍線朝の虫
堂縁の埋木は踏まず涼新た
と見かう見はや四半刻秋扇
能率を上げよと机辺虫高音
 岳父長逝の報ありて
正面の三日月追うて加速せし
普羅句碑に先客ありて秋彼岸
もう逢へぬ人また一人萩紅し