前田普羅<43>(2024年5月)

< 普羅43 前田普羅の地貌句「能登恋い」②>

 能登の美しさや人々の生活を詠んだ普羅の句を、主宰中坪達哉の著書『前田普羅 その求道の詩魂』より紹介します。

(抜粋p97) 蝮捨てに出でて福浦に顔うつる

 蝮を「はみ」と古語で読ませる。福浦港は中能登・富来町にある小さな入り江の天然の良港である。奈良、平安の時代には大陸の渤海国との交流の基地となり、江戸時代には北海道と大阪を往き来した北前船の寄港地としても栄えた。打ち殺されたであろう蝮とそれを捨てに出た人間の顔が映る入り江の水は、研ぎ澄まされたかのように蒼く澄んでいる。

※福浦港(ふくらこう);石川県羽咋市

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