辛夷草紙<50>(令和5年8月)

<草紙50>「 朝顔も熱中症か 」(富南辛夷句会便り)

 生垣に這わせた朝顔が、突然つぎつぎと枯れ始めた。水遣りをかかさなかったのだが、いよいよ花が咲くぞという時になって葉が萎れてきた。例年であれば夕方に水を遣れば、翌朝には元気な葉を見せてくれたものだが、今年はまったく回復しない。ネットで調べると午後の日射しと西日が強すぎたようだ。そこで、かろうじて残っている朝顔のために、午後には葭簀をかけてやっている。何とかこの猛暑を乗り切ってほしいものだ。私の見解では、朝顔も熱中症なのだ。昨年の夏には蝉も熱中症になるということに驚いていたが、皆、この暑さには参っている。ちなみに、富山市の猛暑日観測日数は、23日で過去最多とのことだ。(8月22日現在)

 さて、8月の句会でも、溽暑、極暑など気温を直に詠み込んだ句が複数見られ、作者の猛暑への驚きといらだちが表れていた。が、新涼、鳳仙花、玉蜀黍、薄などの句に着実な秋の訪れも感じられた。  

 投句のあった季語に合わせて『前田普羅 季語別句集』より3句。

  西空にうつるものなき大暑かな

  踊り子の踏めば玉吐く沢清水

  忘られて尚さかりなり鳳仙花

康裕