主宰近詠(令和3年5月号)

 春 の 雁

中坪 達哉

雪折れの棒のごとくに立つものは
裏山は夕べの匂ひ木の芽晴
太く長く啓蟄待たぬ蚯蚓どち
山茶花の紅映ろひて姫辛夷
木の芽雨午後に食ひ込む用ひとつ
  廃校となりしが 氷見
学び舎へ一本道や山笑ふ
オールディーズ聞けばきり無し春時雨
宵の窓開けもして春うべなひぬ
月光に声を先立て春の雁
  近ごろは
チューリップとは見えざるもチューリップ