主宰近詠(令和3年4月号)

 遠 雪 崩  

中坪 達哉

明日あたり折らねばならぬ氷柱かな
ページ繰る指にクリーム寒夜更く
暖房の音もBGМとして
臘梅や近所巡るも旅気分
  小庵中庭
大日岳を辷り来る日矢ものの芽に
軒の雪叩き落せし雨水かな
芹摘むや流れに指を細くして
  立山ケ根
遠雪崩聞こゆることも留守居かな
一ところ残雪くぐり獣みち
駅頭の靴音に乗る四月かな