辛夷草紙<11>(令和3年3月)

<草紙11>私の好きな裏道       

帰り路は裏道とほる初詣

 辛夷3月号「高林集句抄」で巻頭をいただいた。うれしく励みになる。

 初詣は、富山県・立山町芦峅寺の雄山神社と決めている。境内の立山杉の木立は樹齢500年とも言われ、杉の香と祈願殿・奥宮の佇まいは神々しい。雪を被く社の趣は言うまでもない(「四季だより」元旦の社)。杉木立の鬱蒼とした奥宮あたりで羚羊(かもしか)にじっと見つめられると自然に背筋が伸びる。

 芦峅寺は母の里で、子供のころは母の実家へよく遊びに行っていた。神社の裏道は村の入口から神社にかけての道。当時は小川沿いにある道で荷車が通る位の道幅だったように思う。その小川で従兄弟らとよく遊んだものだ。今は暗渠になって車が通るが、ゆるくうねった道は子供のころを思い出させてくれて私の好きな道だ。

 また、この神社は孫達のパワースポットの一つ。最後の仕上げの神頼み、受験の合格祈願で力をもらっている。

春草を分けて羚羊神の杜

                             康裕