主宰近詠(令和2年12月号)

玄 武 岩

中坪 達哉

一俵の重さの記憶今年米
花野とは決まつて迷ひ込むところ
朝顔の踏まれまいとて青を立て
垂れ込める雨意の雲々穴まどひ

  雑踏の音と匂ひ
取り戻す旅の感覚秋時雨
仲秋の竿に干されし旅鞄
長き夜の文鎮として玄武岩
コーヒーの沸きたる月の窓辺かな
一服や立待月に背伸びして
微睡むや夜寒の卓と思ひつつ