辛夷草紙<7>(令和3年1月)

<草紙7>またも大雪予報(富南辛夷句会便り)            

 今年2度目の大雪予報のため、句会(2021.1.29)を急遽中止した。結果としては、雪は30センチほど降ったものの暴風はなく開催できたように思う。が、これもやむを得ない。先の大雪後の句会なので、投句は殆どが除雪、排雪の句だっただろうと思う。私の投句予定の句がそうだったが、欠席投句の方も同じで「凍てを割る」句もあった。私の用意していた句を紹介すると

    二階より深雪の庭を俯瞰せり 

 この時期は朝一番に2階の書斎から庭の積雪を見て雪対策を考える。その日は大松が重そうに雪に耐え、雪吊は縄を張り切り、雪見灯籠は烏帽子のごとく山高な雪帽子を被り、庭は腰ほどの雪だった。屋根も腰ほどの雪。

    雪下ろし木の間飛ぶ鳥下に見て

 10年ぶりかもしれない。襖の開け閉てが渋くなり屋根に上った。鳥達は木の間を飛んでいる。空腹なのだろう。その日は電車の音もなく、車は轍を拾いながらの運転で静かな日だった。

                          康裕