辛夷草紙<31>(令和4年4月)
<草紙31> 「2022年、私の花見」
さまざまの事思い出す桜かな 芭 蕉
まさをなる空より枝垂れ桜かな 高安風生
富山では4月1日の桜の開花宣言から晴天が続き、あっという間に満開となりました。そして10日の『辛夷』花見吟行会では見事な桜を堪能し、皆と句作を楽しむことができました。コロナ禍でやっと開催できた吟行会でしたので、ひとしお感慨深いものでした。
花見吟行会の会場は富山県中央植物園。園の「さくらまつり」と重なり、とても賑やかで、特に子供達の写真を撮っている若夫婦の姿が多く見られました。その子供達の姿は可愛らしいドレスや蝶ネクタイ、まるでおとぎの国の子供達かのように思われました。若いパパに聞くと「気合を入れて可愛い服を着せてみた」と楽しそうでした。さらに楽しそうだったのは友達と笑い合っている若い女性達。それぞれ華やかなパーティードレスを着こなし桜と写真撮影、楽しい花見の形もいろいろです。かたや、「車いすの母を連れて来た」と、年配の男性が桜をじっと眺めている姿もありました。園内周遊のバスから手を振る子供たちに手を振り返し、のどかな桜の風景を愛でながら、私は花の下に垣間見られた人生模様に心をそそられました。
さくら舞ふ空へと嬰(やや)を掲げたり ヒロ
また数日後、朝日町の舟川べりの「春の四重奏」を見に行きました。桜の満開の時期は過ぎていましたが、土手道は散った桜の花びらで、ピンク色に染まってきれいでした。花の散り敷く道を歩む、こんな花見もいいなと思いました。
そして今、我が家の庭では、八重桜が見頃を迎えています。
ヒ ロ