辛夷草紙<24>(令和3年11月)

<草紙24> 「公園の石榴の思い出」

 11月下旬、「汽車ポッポ公園の石榴は今どうなっている?」と心配しながら6人で見に行きました。石榴は健在で、拳大の球形が2個残っておりました。果皮が裂けて中の赤い実が見え、笑っているかのようでした。

 思えば6月半ば、目にも鮮やかな朱色の花石榴を見てから、石榴の虜になりました。木の周りにはタコウインナーがいくつも転がり、これは一体何だろうと興味が沸きました。辛夷草子の<16>をご覧ください。とてもかわいいものでした。8月には小さな石榴が15個以上成りました。つややかな明るいオレンジ色の実で、徐々に大きくなり果皮が裂けるようになってきました。10月の石榴はずっしりと重みも増し、色も秋色となってきました。

ハロウィンの仮面のごとき石榴かな    ヒロ

 11月には、いつのまにか数が2個のみとなっていました。皆で欲しそうに眺めていると、露人ワシコフならぬ優男が石榴を打ち落したのです。

 露人ワシコフ叫びて石榴打ち落とす   西東三鬼

 石榴は無残にも割れてしまいましたが、石榴の粒々の実はまるでルビーのように光っていました。食べてみると、甘酸っぱく郷愁を帯びた味でした。この石榴の思い出は、きっと俳句人生に潤いを与えてくれるでしょう。

ヒロ