辛夷草紙<53>(令和5年10月)

<草紙53>「爽やか 」(富南辛夷句会便り)

 10月、中坪主宰を迎えての句会だ。「自宅を出発してからずっと、青く澄み切った空と、冠雪の雄山や薬師岳を見ることができました。爽やかとはこのことを言うのでしょう。」と主宰からの挨拶をいただき、句会が始まった。作者の作句背景の説明をもとに、主宰より

①言葉はより具体的なものに置き替える。

②重複感のある言葉を削る。

③語順を入れ替えてリズムを整える。

④屋内に居る時の季語を考える。

⑤動物、植物の擬人化は句をまとめ易いが効果は期待したほどで ないものが多い。

などの指導をいただいた。各自の投句に添った指導なので皆、納得顔だ。句会を終えての皆の笑顔が爽やかだった。

 句材は、秋服と探し物、ゴーカートと能登の秋、秋祭と吹奏楽、夫の襟足、部活と秋夕焼、柿と子猿、竿のたわみと露、山風と蕎麦の花、籾殻焼くなどで、各自の「生活と季節との取り合わせ」の広がりを感じた。

 投句のあった季語に合わせて『前田普羅 季語別句集』より3句。

  しんしんと枇杷の照葉のてりかへし

  朝露の流るる草を廻りけり

  立山の雨にほごるる芒かな

                             康裕