辛夷草紙<32>(令和4年4月)
<草紙32>「山独活」(富南辛夷句会便り)
今日の句会で会員の方から、「山独活」をいただいた。ご主人が山菜採りの達人のご様子。出席者全員、嬉しいお土産となった。山独活は、昔から食用、薬用ともに大いに活用されてきたが、それは、春先の若い内だけ。後は大きくなるだけで何の役にもたたないことから、「うどの大木」という不名誉な言い方がされてきた。子供の頃には「お前は、うどの大木じゃ」と、父によく叱られたものだ。天然の山独活は、独特の香気があり、アクの強いくせのある山菜だ。しかし、採りたては別。生のまま味噌をつけて食べると、アクもなく、甘くて、香りも良く最高だ。
さて、4月の句会(4/22)だが、季語は、つくしんぼ、早蕨、花菜、白木蓮、楤の芽、桜吹雪、雉、残雪、春の泥、風光る、蓬餅、フェーン吹くなど。確かな季節の移ろいを感じる。次回は「山独活」の句を期待したい。
投句のあった季語に合わせて前田普羅の句を一句。
蕨採り雲に隠れて帰りこず (『春寒浅間山』所収)
康裕