辛夷草紙<47>(令和5年5月)

<草紙47>「新会館に主宰を迎えて」(富南辛夷句会便り)

 5月、新会館に初めて中坪主宰をお迎えした。「新会館は大日岳・剱岳がどんと見渡せるのが良いですね」と、主宰も青空にくっきりと現れた山容を楽しまれた。今月は、久しぶりに全員揃った句会となり、山笑ふ、春嵐、春愁、独活、君子欄、藤の花、などの春の季語に続き、穀雨、麦の秋、新緑、若葉、風薫る、石楠花、さつき、蛙、山女、朴の花、筍などの初夏の季語の句が並んだ。これらの全句を主宰は丁寧に添削指導してくださった。

 中でも、①屋内に居る時の季語を考えること(時候の季語の活用も)、②歳時記に掲載されていない花も季語として考えてよいこと、③節気を詠み込んだ句を積極的に、などの指導を受けると深く頷いて納得する姿が幾度も見られた。これまでも、時候や節気の季語の使い方、歳時記に掲載のない花は季語になるのか、などは句会でたびたび話題になっていたからである。そして、終了時には、誰もが爽やかな笑顔で、次の主宰との句会を楽しみにしているようだった。

 投句のあった季語に合わせて『前田普羅 季語別句集』より3句。

  藤浪に雨かぜの夜の匂ひけり

  若葉して人に触るるや毒卯木

  笋(たけのこ)の二つ揃へる夜明けかな

康裕