辛夷草紙<46>(令和5年4月)

<草紙46>「立山を望む新会館での句会」(富南辛夷句会便り)

 4月、いよいよ新会館での句会だ。この新会館は、1階が行政サービスセンター、2階が図書館・公民館(研修室)、テラスからは大日岳・剱岳を中央に立山連峰が見渡せる。会館の周囲は葉桜となり、新緑がまぶしい。裏手の崖は、間もなく山藤で彩られる。この自然と一体となった研修室での初句会は心弾むものがあった。さらに嬉しいのは、図書館の書架に『四君子』(中坪主宰共著)、『四季立山下』(山元白樺)、『立山ヶ根』(中川岩魚)、『新緑や歳時記を手に初投句』(山元重男)、『春星』(山元誠)などの辛夷先輩諸氏の句集が並べられ、自由に閲覧できることだ。先輩の声が聞こえる。

 さて、今月の投句の季語は、春まけて、春風、雪解、彼岸、春分、卒業、椿、花、木瓜の花、辛夷、菜の花、雉などで春をしっかりと詠んでいた。句会では、歳時記に例句の少ない季語に挑戦されている方がいる。今月は「春まけて」だ。このような挑戦は、ものを見る目が自ずと変わり、新たな発見につながるものと思う。

 投句のあった季語に合わせて『前田普羅 季語別句集』より3句。

  苔に伏し地に伏し椿ちりにけり

  勝興寺花に明けゆく鐘をつく

  畑打が残せば花菜散るばかり

康裕