主宰近詠(令和4年12月号)
い て ふ ち る
中坪 達哉
聞きたきは稲を刈り行く鎌の音
昼どきを鳶の笛かな運動会
百千度くりかへしても読毎にこと新なり古之典 山田孝雄
棗の実くぐり孝雄の歌碑までと
切抜きの鋏の音もさはやかに
『前田普羅 季語別句集』上梓
菊日和一書のりたるたなごころ
持てさうな冬瓜ひとつ買ひにけり
たれかれのむかうよりくるいてふちる
なでしこ忌(瞿麦忌、大伴家持の忌日)
筆を擱くかそけき音やなでしこ忌
川風に漕ぐ音はなしなでしこ忌
瞿麦(くばく)忌やはやも古色に杮葺 (勝興寺)