辛夷草紙<23>(令和3年10月)

<草紙23> 「久しぶりの句会」(富南辛夷句会便り)

 10月22日句会の事前投句が締切日(15日)までに半数しか到着しなかった。その理由はいくつか考えられる。コロナ禍で8月・9月の句会がなかったこと、会場の公民館の都合でいつもの開催週より1週間早まったこと、郵便の配達が翌々日になったことなどだ。普段のリズムが崩れると、思わぬことが起きるものだと焦った。

 さて、無事に句会が開催され、句材は、長き夜、秋寂び、秋麗、秋時雨、秋の蚊、零余子、赤とんぼ、霧、芋などと多彩だった。外出自粛のためか身ほとりの句や近くを散策する句が多かったが、皆さんの声は明るかった。作者の推敲に参考となる意見や言葉が次々と出され、活発に句会を楽しんだ。俳句が「座の文芸」であることを実感し、満喫したことと思う。また、それぞれ自分の秀句を色紙に墨書してきたものを額装した。来る文化の日の「公民館作品展」に今年も出品するのだ。当日は、秋晴に冠雪の立山を仰ぐ、爽やかで穏やかな一日であれと願っている。

 折しも、昨日(10月21日)立山に初雪が降った。この初雪を詠んだ名句がある。

立山に初雪降れり稲を刈る(前田普羅 大正14年作)

康裕