辛夷草紙<80>(令和8年1月)

<草紙80> 「立山道の道標」(富南辛夷句会便り)

 富山地方鉄道「大川寺駅」近くの交差点の角に大きな岩の道標が立っている。道標には「左立山道 右ゆみち」とあり、立山登山道と立山温泉の別れ道にあったものだ。道路整備などにより現在の場所に移設されたものだが、道標の裏には全国からやって来た行者たちの名前が刻まれていて、立山詣が盛んだったことがわかる。建立されたのは、1816年(文化13年)頃で、先のNHK大河ドラマ「べらぼう」で登場した若き将軍、第11代将軍徳川家斉(吉宗の曾孫)の時代のようだ。

 当時を偲び、立山道の方角を望むと、歩いて渡ったという常願寺川、対岸にある雄山神社前立社壇、そのはるか先、立山(雄山)頂上の雄山神社峰本社へと続いていることがよくわかる。ここを通って行った人達の覚悟や賑わいが伝わってくるようだ。立山道の道標について詳しく知りたくなってきた。新年を迎え、今年は先ず、周辺の道標や石仏をたどることから始めてみようと思う。

 さて、初句会だが、正月、乗初、初詣、雑煮、二日、初夢、三日等の迎春の句や、雪、雪搔等の雪国らしい句が投句された。

 投句のあった季語に合わせて『前田普羅 季語別句集』より3句。

  子はすでに童話は読まずお正月

  切餅の切口ひかる二日早や

  紫に暮れ行く雪の工夫かな

                               康裕