辛夷草紙<79>(令和7年12月)
<草紙79> 「満天星つつじの雪囲」(富南辛夷句会便り)
11月最後の土曜日。学業の合間に県外から孫がやって来た。満天星つつじの生垣の雪囲を私とするためだ。空は気持ちよく晴れ渡り、満天星つつじの紅葉が明るく光っている。孫は、長さ5mほどの竹の束を、納屋から軽々と抱えて運び出す。さあ、作業開始だ。まず、竹を1/3ずつ重ねて7本を荒縄で連結していく。それらで生垣の表側と裏側の2方面から挟み、所々に打ち込んである杭に縛り付けた。生垣は背丈ほどあるので2段組となる。
最後は、先に孫が両手を広げて計って切っておいた2尋の荒縄たちの出番だ。まず表側にいる孫が荒縄を半分に折り、輪になった部分を竹に巻き付け、その輪から荒縄の両端を引き抜いて、裏側にいる私に渡す。受け取った私は男結びで竹にきゅっと締め付ける。孫の作った荒縄の長さはちょうどいい具合だ。これで表側と裏側の竹がしっかりと繋がって雪の重みにも耐えられるようになった。こうして生垣の端まで所々を縛っていったのだが、孫と私の連携プレーは次第に調子が出てきて、どんどんスピードアップしていった。翌日には庭の木々の雪吊も完成した。果たしてその週末に初雪となり、今年もどうにか間に合った。孫に感謝だ。
さて、納会となった句会だが、貴船菊、柚子、紅葉、冬支度などの晩秋の作品に続いて、落葉、時雨、霜、初雪、賀状書く、年の暮などを詠み、一年を締めくくった。
投句のあった季語に合わせて『前田普羅 季語別句集』より3句。
落葉して杉あらはるる山路かな
時雨るるや水の流るる竹林
うしろより初雪ふれり夜の町
康裕

