＜ 令和7年度 辛夷三賞 ＞
◎辛夷賞 大谷 こうき
| 立秋忌いつもひと雨欲しきころ |
| 父ははに行く末尋ね墓洗ふ |
| 雪吊の縄を欲しがる枝またも |
| そこばくの御神酒まはしてどんど焼 |
| 夕星や京の定宿梅盛り |
◎辛夷賞 寺田 嶺子
| 令法咲く頃か山へは行かねども |
| 椅子二つ据ゑてひとりの居待月 |
| 紅白の梅競ひ合ふ三の丸 |
| 夫遺す藪の隅には独活の芽も |
| 茶事果てて足裏の疲れ夏めく日 |
◎衆山皆響賞 倉沢 由美
| 置き配の段ボールに冬温きかな |
| 香に咽び正月花選る花舗の昼 |
| バイク音絶えてあの子も新社員 |
| 縄解かぬ薔薇のひとつや庭に春 |
| 寛解や根張りの浅き草を引く |
◎衆山皆響賞 橋本 しげこ
| 胸元に汗流るるも雲は秋 |
| 門扉閉づすでに上りし月涼し |
| 葉陰なる小鳥も我を見つむるや |
| 堅雪や雀の群れに鵯もゐて |
| 舌も尾も震はせ睨む蛇の目よ |
＜ 令和7年 年次俳句大会 主宰入選句 ＞
| 天位 | 箱庭の中で叶へる夢もあり | 田村ゆり子 |
| 地位 | 月煌々と吾が黙を曝しけり | 平井 弘美 |
| 大筒を支ふ二の腕花火降る | 岩﨑 純子 |
| 人位 | 呼べば向く馬柵の栗毛や雲の峰 | 浅野 義信 |
| 新緑の山毛欅の鼓動を手のひらに | 石黒 順子 |
| 天空の棚田にまろぶ稲雀 | 藤 美紀 |
| 特選 | 春宵やキハの窓過ぐ昭和の灯 | 釜谷 春雄 |
| 空青し若葉の狭間は鳥の窓 | 太田 硯星 |
| 不自由は不自由なりに茄子の花 | 吉野 恭子 |
| 夏椿出際に拾ひ庭隅へ | 橋本しげこ |
| アルバムで旅する母と春炬燵 | 二俣れい子 |
| 笹百合や上りの息を整へむ | 新村美那子 |
| 朝練や蛇口に頭並ぶ夏 | 小峰 明 |
| 暑き日の座せば息吐くソファーかな | 杉本 恵子 |
| 水口を開けて尻餅雲の峰 | 永井 淳子 |
| 若捥ぎも遅生りも好し茄子料理 | 般林 雅子 |
令和７年度 年次俳句大会入賞句の、主宰選評は令和8年正月号に掲載されています。
＜ 立秋忌供養俳句大会 ＞
| 主宰吟 | 一文をこころに蔵し立秋忌 | 中坪 達哉 |
| 主宰特選句 | 飛騨見えず五箇山霞む立秋忌 | 内田 邦夫 |
| 農薬の匂ふ手に数珠立秋忌 | 藤井 哲尾 |
| 普羅塚に庭の向日葵供華と立て | 越橋香代子 |
| 普羅塚の裏もすつきり草刈られ | 指中 典子 |
| 普羅塚へハンカチたたみ一歩前へ | 菅野 桂子 |
| 赤腹の別れの声か今日の秋 | 岡田 康裕 |
| トンボ二匹普羅塚読経ただ中を | 小路美千代 |
| 無になりて心経唱ふ涼しさよ | 角田 睦子 |
| 互選天位 | 農薬の匂ふ手に数珠立秋忌 | 藤井 哲尾 |
