辛夷草紙<64>(令和6年10月)
<草紙64>「 報恩講 」(富南辛夷句会便り)
報恩講の案内をお寺の掲示板に見かけるようになってきた。このあたりでは本山である西本願寺の1月の報恩講に先立ち、10月から12月にかけて法会があり、私の門徒寺では、「ほんこさん」 と呼ぶ報恩講が10月26日に行われた。読経はご住職や付き合い寺院の住職の皆さんで、法話は布教講師がなさるが、昨年から若院(じゃくいん:住職の息子さん)よる「親鸞聖人伝絵の絵解き」が加わった。聖人伝絵は四幅の軸に描かれていて、若院が指示棒を使いながら説明してくださる。若院の良く通る声が心地よく、その穏やかな口調にも若院の人柄が表れて爽やかな気持ちになった。
報恩講絵解きの若院声とほる 康裕
さて、今月の句会で投句のあった季語は、花野、秋の虹、木犀、芒、刈田、朝寒、草紅葉、木の実、栗飯、秋風、新米などで、すっかり秋めいたものとなった。
投句のあった季語に合わせて『前田普羅 季語別句集』より3句。
風出でて人を押しゆく花野かな
花芒平湯の径にかぶされり
月山に向けばつめたし刈田径
康裕