前田普羅<2>(令和2年12月)

普羅2 前田普羅の句の魅力 >

 今回は、前田普羅の句の魅力を大きくとらえて、その魅力を味わっていただければと思います。そこで、主宰中坪達哉の著書『前田普羅その求道の詩魂』より「大正時代の立句に学ぶ」(p173)から抜粋して、普羅の句を紹介します。

(抜粋1)

 『俳句』平成16年5月号では大特集「大正時代の魅力」が組まれていた。それは、20人の俳人にアンケート形式で、自らが強い影響を受けた俳人12人の大正年間に詠んだ句、各3句を問うものであった。その中で挙げられた普羅作品を、多く選ばれた順に見てみると次のようになる。 

 雪解川名山けづる響きかな
 人殺す我かも知らず飛ぶ蛍
 寒雀身を細うして闘へり
 春尽きて山みな甲斐に走りけり
 春雪の暫く降るや海の上
 夜長人耶蘇をけなして帰りけり
 立山のかぶさる町や水を打つ
 病む人の足袋白々とはきにけり
 花を見し面を闇に打たせけり
 雪晴れて蒼天落つるしづくかな
 新涼や豆腐驚く唐辛子
 いづこより月のさし居る葎かな
 絶壁のほろほろ落つる汐干かな
 秋出水乾かんとして花赤し
 しみじみと日を吸ふ柿の静かな

 以上、いかがですか。俳人たちの選んだ「大正時代の普羅の句ベスト15」。普羅の句の格調の高さ、壮大さ、深い趣、斬新な表現等々、多様な魅力にあふれています。そして昭和の時代になっても、以下の抜粋2にありますように、普羅の句はより深化していきます。

(抜粋2)

 言わずもがなだが、普羅の俳句が大正時代で終わるわけではない。神韻たる格調高き句風は昭和に入っても変わらない。

 雪山に雪の降り居る夕べかな
 駒ヶ岳凍てて巌を落としけり
 かりがねのあまりに高く帰るなり

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