辛夷草紙<22>(令和3年9月)

<草紙22> コスモス揺れて

 自宅の花畑にコスモスが揺れている。背丈ほどの高さだ。数えたこともないが、500本はあるかもしれない。この時期は花野にいる気分だ。そもそも、こんなに増えたのは、娘が中学生の時に「花畑を広げて野花の種を蒔きたい」と言ったことに始まる。その頃、私は単身赴任をしていたが、両親は元気で、孫が言うならばと快諾。水遣りや手入れは、随分と力になってもらった。野花の全ては思い出せないが、コスモス、鶏頭、あかざ、薊、女郎花、なでしこ、ひなげしなどと多彩だった。正に花野だったのだ。

 やがて、この花畑は嫁いだ娘の帰省時には、孫達の花摘み、かくれんぼなど、かっこうの遊び場となった。それから時がたち、今は規模縮小とともにだんだんと野花の種類も少なくなったが、コスモスは咲き競っている。色は赤紫、白、ピンク。今年は娘から貰った黄が加わった。娘は、子供が通っている学校の菜園ボランティアをしているので種を譲り受けたという。花野は続きそうだ。

コスモスや一人ひとりに風ありて

                          康裕