辛夷草紙<28>(令和4年2月)

<草紙28> 「雪中花」

 雪中花は一般的には水仙、水仙花とも言い、ヒガンバナ科だと知り驚きました。ヒガンバナ科の植物は、葉や球根に毒があるので要注意だとか。それでも花の少ない時季に、椿の木の根方にそそと咲く様は可愛いものです。今年の正月は、玄関に南天と一緒に生けてみました。2月に入ってもまだ生き生きとして、良い香りを放っています。白い花びら6枚の中に、筒状の黄色の花冠は星が光っているようにも見え宇宙を連想させます。

   吾を呼ぶ雪の中なる雪中花     ヒロ

 昨年来の大雪に、庭の水仙はすっかり雪に埋もれてしまいました。しかし、ここぞと当てを付けて雪を掘っていくと、なんと野性的な匂いをわっと放って現れてくれました。雪折れにもびくともせずに、何本も花をつけていました。強い花だと思います。

 水仙の大好きな私にぴったりの前田普羅の句を見つけて嬉しくなりました。

  水仙の高く匂ひて凍ゆるむ      前田普羅

  沍てゆるみ水仙どうと曲りけり    前田普羅

 これから、雪解けと共に、野に山に水仙の香が満ち満ちて来る事でしょう。春が待たれます。  (花言葉) 白い水仙・・・神秘 

                            ヒロ