辛夷草紙<39>(令和4年10月)

<草紙39>「『前田普羅 季語別句集』を手にして」(富南辛夷句会便り) 

 10月9日に令和4年度『辛夷』年次俳句大会が富山市内の電気ビルで開催され、会場で辛夷百周年記念事業として編纂された『前田普羅 季語別句集』が発売された。手にされた富南辛夷句会の皆さんの感想は、片手にのるサイズで使い良さそう、月別に季語が組まれていて読みやすい、活字が読みやすい、手元において使いたいなど。いずれも、編纂のねらいどおりの感想で、編纂委員の私としても、とても嬉しかった。日頃の作句に活用していただきたい。

 さて、今月の投句の季語は、芒、紅葉、コスモス、間引菜、新米、柿、朝顔、月、秋夜長、身に沁む、冬隣、鰯雲、美術展覧会、松手入れ、秋麗などと多彩だった。

 句会の中で、近くの大学キャンパスの除草対策に導入された山羊の句が話題となった。地元紙紹介記事や大学ホームページによると、除草をすることで、清々しい空間を維持するだけでなく、病害虫や野生動物の侵入も防ぐことにつながるとのことだ。大学のSDGs推進サークルが除草量の測定を行い、除草効率を明らかにするとしているのは、いかにも大学キャンパスらしい。

 来る文化の日には「公民館作品展」が開催され、句会の皆さんが出品する。句会後、それぞれ自分の秀句を色紙に墨書してきたものを額装した。当日は、秋晴に冠雪の立山を仰ぐ、爽やかで穏やかな一日であれと願っている。

 投句のあった季語に合わせて前田普羅の句を2句。

立山の雨にほごるる芒かな

コスモスの倒れて花を上げにけり

康裕

※解る(ほごる・ほぐる)