o

辛夷句抄
(令和2年6月号)

五岳集句抄

頑なに二分咲きのまま落椿 今 村 良 靖
することのなき日もマスク離されず 但 田 長 穂
飛花落花しるべ朽ちたる文殊堂 藤   美 紀
風一陣またも一陣花ふぶく 野 中 多佳子
春の鴨しきりに誰か呼ぶやうに 荒 田 眞智子
同じ姓ばかりの里や桃の花 秋 葉 晴 耕
木の陰を逸れて真白き落椿 浅 野 義 信

高林集句抄

初つばめ畑の夫を捜すかに 二 俣 れい子
ランドセル箱に仕舞ひて卒業す 相 川 澄 子

衆山皆響句抄

あかつきの自粛の街を春の雪 猪 羽 希美子
喜びはマスクにかくし入学す 仕 切 義 宣
掲示板貼紙も無く春惜しむ 永 田 春 子
しやぼん玉大空映しひとりゆく 漆 間 真由美
花木瓜や棘も大事に活けられて 中 村 玉 水
段葛若木桜は背伸びして 田 村 ゆり子
散策の知らぬ道あり木の芽晴  大 倉 貞 子
燕来る様変はりせし界隈に 坂 本 昌 恵
入学の母子らしきをバス停に 久 郷 眞知子
ことごとく散りたるもまた花の寺 長谷川 静 子
蜆汁家飲み増えし夫と子に 倉 沢 由 美
外に出ぬことの贅沢目借時  川 渕 田鶴子
おぼろ月駅名あはれ稚児塚は 中 川 正 次
種芋の数あるだけの畑作る 小 西 と み
娘を訪ふは不要不急と薯植うる 平 木 美枝子
撞きそびれ桜吹雪の大梵鐘  川 田 五 市
テレワーク田起こしの音風に乗り 三 橋 秀 子
何気なき会話の弾み春うれひ 入 江 節 子