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辛夷句抄
(令和2年8月号)

五岳集句抄

園児らの帽の高さに花菖蒲 今 村 良 靖
春灯を吹き消すやうに友逝けり 但 田 長 穂
かたばみの花の明かりや童子佛 藤   美 紀
初七日の朝より卯の花腐しかな 野 中 多佳子
テレワークの娘とほのぼのと冷奴 荒 田 眞智子
隠沼のそとは知らざる根なし草 秋 葉 晴 耕
バス停の畑は馬鈴薯花盛り 浅 野 義 信

高林集句抄

南天の花こぼれをり月まどか 北 見 美智子
泥の手を洗ふ田水や風薫る 杉 本 恵 子

衆山皆響句抄

マスクしてネクタイ試着夕薄暑  中 島 廣 志
雨脚のたまゆら早し蜘蛛の子に  浅 尾 京 子
膝痛のやや薄らぎて夏立てり 井 上 すい子
田草にも苗にも縋り根無草 山 崎 和 子
夜のしじま毛虫葉を喰む音のして 村 田 あさ女
植ゑ終へし田毎に八ケ岳の風のこゑ  那 須 美 言
初鰹若き漁師のゴム合羽  高 岡 佳 子
新緑のそよぎの下を泳ぐかに あらた あきら
鎌休め木蔭に入れば柿の花 清 水   進
身ほとりのものを磨いて四月尽 桑 田 ふみ子
万緑や筋肉躍る背に抜かれ 吉 田 秀 子
ランナーの合間を切るや夏燕 鍋 田 恭 子
草刈りの鎌研ぐを子ら不思議顔 大 池 國 介
さう云へば庭の蜥蜴の貌見せず  窪 田 悦 子
息ひそめ玻璃越しに追ふ小雀(こがら)かな 平 木 丈 子
駐車場右往左往の巣立鳥 中 村 伸 子
心天コロナ太りに御八つとし 荒 井 美百合
掌に伸せし守宮に聞くや雨模様 水 間 英 光