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辛夷句抄
(平成31年2月号)

五岳集句抄

にほどりを捉へ損ねし双眼鏡 今 村 良 靖
寺小春志功の女体とび出して 但 田 長 穂
常濡れの箱根旧道落葉踏む 藤   美 紀
黄落やいま美しき一語欲し 野 中 多佳子
短日やエレベーターの無言劇 渡 辺   梓
カクテルの縞目一筋小夜時雨 荒 田 眞智子
砂浜のみぎはは堅し磯千鳥 秋 葉 晴 耕
納屋隅の箱に一夜をかじけ猫 浅 野 義 信

高林集句抄

忘年会果てて北辰さがす帰路  大 谷 こうき
綿虫を掴みし筈と掌を開く 杉 本 恵 子

衆山皆響句抄

降るといふ雪降らぬ日の寒さかな   角 田 睦 子
出そびれてはや夕暮や神無月 水 上 玲 子
雪吊をして雪国の松となり 仕 切 義 宣
百合の根をとりし肉球貉(むじな)かと  柳 川 ひとみ
スマホ見る人に囲まれ暖房車 金 山 千 鳥
桃の花返り咲きして散りもせず 佐々木 京 子
雑踏にまぎれ聖夜をやり過ごす 粟 田 房 穂
異国語を聴きて雪吊見上げをり   佐 渡 稚 春
大日岳へ朴葉の裏の朝の霜  中 林 文 夫
短日やステンドグラス夜明け待つ  吉 田 秀 子
路地裏を抜ける夜風やおでん酒  松 田 敦 子
背伸びして梅を嗅ぎたるランドセル 発 田 悦 造
添書は去年の返事賀状書く 村 田 昇 治 
大根引き手を入れてみし抜き穴に 野 間 喜代美
切抜きのノート膨らむ師走かな  川 渕 田鶴子
焼却炉烟らぬやうに焚く落葉  平 木 美枝子
冠雪を撮れば麓に墓群かな  川 田 五 市
コンビニは町の灯台夜の長し 金 谷 美 子