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辛夷句抄
(令和2年正月号)

五岳集句抄

秋風にふらつく老いを許しけり 今 村 良 靖
紅葉狩ともに酌みたる日もありし 但 田 長 穂
古書街の人込にあり神の留守 藤   美 紀
母の背のまたちぢまりて立山(たち)に雪 野 中 多佳子
蹲ひに新たな柄杓椿の実 荒 田 眞智子
大根蒔く手抜きなかりし床づくり 秋 葉 晴 耕
初鴨に運河のひかり溢れけり 浅 野 義 信

高林集句抄

置物めく窓辺の猫に小鳥来る 小 澤 美 子
風呂の柚子術後の傷にそと当てて  中 邨 宗 承

衆山皆響句抄

目の合へば蝶をこぼして枝の鵙 平 井 弘 美
括りても行儀の悪しき庭の菊  中 村 玉 水
これだけは子に負けられぬ蝗捕り 倉 島 三惠子
運動会隔世遺伝孫速し 北 村 優 子
山小屋の具だくさんなるきのこ汁 稲 山 規 子
柿の日の柿食ふ鐘は聞こえねど 針 原 英 喜
小鳥来る納屋にパンクの一輪車 澤 田   宏
擂りリンゴほのかに香る病院食  稲 田 政 雄
敬老会台上狭しと喜寿米寿 平 木 正 子
丹精の菊家中(うちぢゆう)に祝膳 齊 藤 寿 仙
木守柿対のとんぼの止まりけり  長 久   尚
本堂へ一歩躊躇(ためら)ふ床もみぢ   川 田 五 市
新走り杉玉に染む風の色   片 山 敦 至
毛糸針ゆつくり動く聞き上手  東 海 さ ち
落葉舞ふキャッチボールの声弾む   永 田 春 子
満天星に始まる庭の秋の色  金 山 千 鳥
川普請(かはぶしん)子供の声もちらほらと 内 田   慧
城郭図の吊天井探す小春かな 髙 田 賴 通