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辛夷句抄
(令和2年3月号)

五岳集句抄

瑞光の降りて印旛の春隣 今 村 良 靖
掌に余るほど摘みためて蕗の薹 但 田 長 穂
緋の袴登るきざはし実朝忌 藤   美 紀
源氏物語つくづく長しむつみ月 野 中 多佳子
冬珊瑚立山の裾野の登り窯 荒 田 眞智子
初鏡のびるにまかす長寿眉 秋 葉 晴 耕
薄明の路地の奥処に寒の月 浅 野 義 信

高林集句抄

戻りくる女松の色や日脚伸ぶ  新 村 美那子
門ひらく霞のなかの谷戸の寺 北 見 美智子

衆山皆響句抄

今しばし白鳥を待つ日照雨(そばへ)かな  中 島 廣 志
初売を楽しめとAIロボットは 井 上 すい子
寒梅や肩の力は抜きがたく 金 子 喜久子
喜寿の頃好みしコート着て重し  砂 田 春 汀
着ぶくれてチャイムの音を黙殺す  石 﨑 和 男
(かそけ)きは田の薄氷の解くる音 出 村 禮 子
雪雲が届く山道急ぎをり    大 和   斉
店頭にマスクとマスク話し込む  廣 木 とも子
豆を撒く風雨烈しき庭に向き   山 崎 和 子
開くたび水仙香るローカル線 足 立 美也子
遥かなる天守の甍植木市 那 須 美 言
春寒や空の雲さへ動かざる 田 村 ゆり子
仏の座抜き取りし跡手で均す 高 岡 佳 子
住み古りて隙間風さへいとはざる 桑 田 ふみ子
水鳥の岸に上りて船行かす  民 谷 ふみ子
デパートへマスクの下のノーメーク 永 井 宏 子
湯豆腐の湯気に混じるや木蓋の香  立 花 憲 子
千姫の歩きし回廊冷たけれ  遠 藤 千枝子