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辛夷句抄
(令和元年12月号)

五岳集句抄

コンクリートの割目にひとつ草の花 今 村 良 靖
暑ければ哀しければ黙祷す 但 田 長 穂
渓底に路見え隠れ岩紅葉 藤   美 紀
秋寂ぶや声くぐもれるシテの面 野 中 多佳子
台風や看板飛びし闇の空 渡 辺   梓
秋海棠我が土に慣れ水に慣れ 荒 田 眞智子
灯台の光海薙ぎ星流る 秋 葉 晴 耕
マンボウを寝かせ漁港の冷やかに 浅 野 義 信

高林集句抄

とんび二羽舞うてはじまる運動会 境 田 芳 雄
造花生け芒そへれば風通ふ 漆 間 志 信

衆山皆響句抄

借りし書を詰めしリュックや台風禍 齊 藤 哲 子
空つぽの鳥小屋覗く秋思かな 猪 羽 希美子
秋風を聞く野仏の石の耳    金 子 喜久子
行く秋の蚊のよろよろと廊下這ふ   漆 間 真由美
鹿の影伸びつつ奈良に秋が来る 高 岡 佳 子
すれ違ふ修行僧秋風の中 佐 渡 稚 春
母の里かの日のままに曼珠沙華 あらた あきら
鈴虫の鳴き止む狭庭のぞき見る 浜 井 さなえ
下校児の稲の切り株踏みしめて 加 藤 友 子
敬老日案内(あない)の子らに手を引かれ 清 水   進
日に濡れて微笑み返す檀(まゆみ)の実  坂 本 善 成
雲切れて弾け落ちたる椿の実  松 田 敦 子
気に掛かる身近な川も台風圏  久 郷 眞知子
近寄りて離れて萩の白さかな 永 井 宏 子
爽やかな挨拶の声異邦人 松 原 暢 子
(あなうら)に磴の湿りや萩紅し 橋 本 しげこ
息災を見にくる亡夫か秋の蝶 遠 藤 千枝子
はかどらぬ仕事合間に青みかん 荒 井 美百合