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辛夷句抄
(令和2年7月号)

五岳集句抄

籠る子の手づくりとかや鯉のぼり 今 村 良 靖
散居野に春の別れを惜しみつつ 但 田 長 穂
椎落花巨木の下の野外能 藤   美 紀
父の忌を遣りすごしてや麦は穂に 野 中 多佳子
蜘蛛の囲の蜘蛛は光にかくれけり 荒 田 眞智子
麦の秋妻が依頼の小買物 秋 葉 晴 耕
春祭尽きてもの焚く男どち 浅 野 義 信

高林集句抄

風車泣く子をあやす風の色 明 官 雅 子
おほまかな駅前の地図姫女苑  石 原 照 子

衆山皆響句抄

疫禍記す新聞括り四月尽   金 山 千 鳥
窓若葉鏡の吾とリハビリを 平 井 弘 美
藤棚の人を寄すると刈られけり 坂 本 善 成
卯の花や水道工事谷戸深く 高 橋 よし江
弁当で四月の誕生祝ひけり  寺 崎 杜詩緒
(もち)の木のかへりみられぬ花こぼし  馬 瀬 和 子
塀に上り子らが吹きたるしやぼん玉  加 藤 友 子
実家への近道溢るる月見草 五十嵐 ゆみ子
降り出しはやさしき音や花の雨 畠 山 美 苗
握り飯食ふや代田の風を受け  山 森 利 平
木洩れ日の続く小道に夏きざす  東 堂 圭 子
初蝶や狭庭ににほふ花もなく 大 塚 諄 子
戸が開けば卯の花匂ふ夜風かな  内 田 邦 夫
フライパンに散らす香りも野蕗かな 齊 藤 寿 仙
春葱を買ふ生産者名は友 石 間 甚 郎
豆の花落つる音して昼深し 山 田 ゆう子
山椒みそ練りて厨の活気付く 飯 田 静 子
苗箱を蜷の流れに洗ひけり  広 田 道 子