中坪達哉主宰近詠

   熊   棚
            中坪達哉
  小口川線より有峰へ
湧く霧に消えまじと山毛欅水楢は
登り行く霧の尻尾を見送りて
  冷 タ 谷
てのひらに姫やままゆの露けしや
  東 西 半 島
新旧の熊棚天を暗うせり
先を行く誰かが踏みし熊の糞
  有 峰 湖 岸
実を揺らし野ばら手折りし指の刺
これよりの紅葉うながす空の青
  折立遊歩道にて真川へ
通るとき笑顔がよろし真弓の実
蔦うるしもみぢを這はん虫ならば
大文字草摘まず雫に触るるのみ