中坪達哉主宰近詠

  真夜の蝉
            中坪達哉
ハンカチの真白を盾に歩くのみ
掠め行くその顔見たし夏つばめ
河口眩しや夏潮に吸はれまじ
金亀子飛び疲れては膝に落つ
机辺へと声の近づく真夜の蝉
  木々に声あり
ブナ科コナラ属シラカシ風涼し
水切りの失敗もなく夏惜しむ
夜の秋隠者めきたる端座かな
月影に浮かぶ菜虫を抓みけり
  子規庵よりの種が実を結ぶ
朝な夕な糸瓜の機嫌疑はず