中坪達哉主宰近詠

   蜘 蛛 の 子
            中坪達哉
その音が好きで蜆を搔き回す
音ほどは上がつてくれぬ紙風船
跳ぶべきか春の小川の今もなほ
急くほどの距離にもあらず竹の秋
付きまとふわけでもなくて熊ん蜂
   砺波市、 長尾為景の塚
討死の塚を蜘蛛の子散りにけり
足もとへ遊びに来るか蜥蜴の子
玉葱を見飽きず廊下往き来して
涼風に復路の一歩踏み出しぬ
涼やかな灯りに濡れて駅頭に