中坪達哉主宰近詠

  野 遊 び
            中坪達哉
吸ひ込まれさうや屏風の道伸びて
表札のあれど名も消え探梅行
  旧暦一月二十日 倶利伽羅峠
風吹けば谷匂ひ立つ義仲忌
ふるさとは道も増えたり春時雨
野遊びの靴に合はせし歩きやう
穴出でてわうごんの蛇とぐろ巻く
  近くの河津桜を日々に
満開の花に鳥どち来てをらず
田起しの土にむせびて歩かねば
背で聞けばうぐひすのこゑ乾きけり
乗れさうな春の雲かな下りてくる