中坪達哉主宰近詠

  庭 も 夏
            中坪達哉
かげろふを出でくる両の手には花
思ひ出すまでは目を閉ぢ蛙の夜
寒き日を呼び込むことも更衣
乱鶯の朝より稿を急かすごと
玉葱のかがやきに椅子深く引く
卯の花に溺るることも足休め
名も知れぬ花の幾つか庭も夏
花終へし牡丹の葉にも足止めて
大いなる蚯蚓にひるむ指の先
千切れとぞ飛び掛かり来る蛇の衣