中坪達哉主宰近詠

  春 の 雁
            中坪達哉
  かつての家は
木の芽晴縁の下より風吹いて
潮の香も甘苦しくて風車
十年目の音を弾ませ紙風船
鳴き足らぬ声を夜空に春の雁
うぐひすのこゑ待つ納豆かきまぜて
  満天星の苗木植う
玉柘植より木洩れ日も満天星の花
赤が消え白と黄熱くチューリップ
細々として書き直し春うれひ
草引き出せば一時間またたく間
雀の子足もとに来て動かれず