中坪達哉主宰近詠

  雁 去 る
            中坪達哉
朝床に雁去るこゑやきのふ今日
蝶の昼たれか訪ねて来るやうな
立山のいよよ寄り来るフエーンかな
春雨の音を聞かんと開く傘
熊ん蜂遣り過ごさんと石に座す
箱を開け新玉葱に照らさるる
栞古り躑躅の花の落ちし音
草引けば鴨どちに取り巻かれをり
足もとへ雀を呼べば蚊に刺され
青葉風鳥の視線を抜け切れず